グループ内での資産譲渡取引に注意せよ

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建築会社であるA社のオーナーですが、かなりの利益が出たため、親族が100%出資している他の建築会社に含み損を抱えている土地を売却しました。おかげさまで500万円の節税ができた、と思ったのですが・・・。

1.ポイント

グループ法人税制において「100%グループ法人」とは、直接資本関係のある法人同士にとどまらず、同じオーナーが100%出資する2つの法人や判定対象となる個人の親族等にあたる個人が所有する法人間においても認められます。そして、グループ法人税制における譲渡損は、譲渡損益調整資産に該当するため、会計上は、譲渡損益が認識されますが、法人税法上は繰り延べられることとなります。

2.解説

(1) 完全支配関係

「完全支配関係」とは、①一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有関係、②一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいいます。(法法2十二の七の六、法令4の2②)

(2) 「一の者」が個人である場合

グループ法人の範囲として「一の者」による「完全支配関係」の場合で「一の者」が個人のとき、その範囲は、その者及びその特殊の関係のある個人が含まれます(法令4の2②)。この場合の「特殊の関係のある個人」は、下記のとおりとなります。

  • 株主の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)
  • 株主との事実上も婚姻関係の事情にある者
  • 個人である株主の使用人
  • 個人株主から受ける金銭等により生計を維持している者
  • (a)〜(d)の者と生計を一にするこれらの親族

(3)譲渡損益調整資産の範囲

譲渡損益調整資産とは、以下に掲げる資産のうち、その譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額(税法上の帳簿価額)が1,000万円以上であるものをいいます。

  • 固定資産
  • 棚卸資産に該当する土地(土地の上に存する権利を含む)
  • 有価証券(売買目的有価証券を除く)
  • 金銭債権
  • 繰延資産

従いまして、100%支配グループ法人間における建物等の「譲渡損益調整資産」を譲渡した場合の譲渡損益は、法人税法上、繰り延べられます。そして、繰り延べられた譲渡損益は、グループ外への譲渡、償却、評価替え、貸倒れ、除却等によって計上されることとなります。

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