得意先に納品が行われた時点で認識する納品基準を適用した場合に、棚卸資産の扱いはどのようにすべきでしょうか。
1.棚卸資産の計上の適否を確認する方法
出荷日が当期月末、納品日が翌期月初になっているときに、納品基準を取っていた場合には、売上は翌期になります。しかし棚卸資産の計上は期末に行われる実地棚卸の集計額を基にその金額が確定された場合、既に出荷が住んで手元にない商品も棚卸資産として計上しておかないと、費用収益対応の原則に外れることになります。
売上を出荷基準で認識すれば、期末の実地棚卸の在庫の有高が棚卸資産として計上すべき在庫の有高と一致しますが、売上を納品基準で認識すれば手元にない配送中の在庫を棚卸資産として計上します。
調査官が棚卸資産の計上漏れがないかどうかを確認するのは、期末前後の在庫の入出庫を確認する作業を行います。まず仕入から、期末近くに仕入れた在庫が期末に計上されているかどうかを確認し、計上されていなければ期末近くの売上との対応関係を確認する作業を行います。いずれも確認できないときは、売上か棚卸資産の計上漏れが想定されます。次に売上から、翌期首の売上と期末在庫の対応関係を確認する作業を行います。翌期首の売上が期末在庫に適正に計上されているかどうかを確認し、計上されていなければ翌期首において仕入れた商品を販売したものでなければ、棚卸資産の計上漏れが想定されます。
2.税務上の対応
期末に出荷して翌期に納品した商品が、期末の実地棚卸でカウントされていない場合は、当期において棚卸資産に該当するものとして、棚卸計上漏れで留保加算処理を行います。
棚卸除外は論外ですが、実務上、通常の棚卸資産の集計においても、配送中の在庫、海上輸送中の仕入れ、他社に預けた預け在庫等の手元にない在庫の集計漏れ、棚卸資産の評価額の違いなどで、税務署との見解の相違は起こり得ますから注意しましょう。