原状回復費相当額の収益計上

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不動産貸付業社ですが、賃貸していた物件について、賃貸借契約期間が満了になったことに伴い、借主より退去時に原状回復費用相当額として300万円を受領しました。受領した300万円については、返還された物件の原状回復工事の費用に充当するため、預り金として処理し、来期に工事完了後の支払いと相殺させる予定でおりました。

1.ポイント
原状回復工事費用の相当額として受領した金額については、賃貸不動産物件の原状回復工事に要する費用と関係があると考えられます。ただし、受領した金額については、必然的に原状回復工事に係る債務を負担するものではなく、明らかに賃貸人によって自由に収益処分できる性格を有しており、また、返還する必要のないものであるから、事例において受領した金額については、その入金のあった日の属する事業年度の収益に計上する必要があります。

2.解説
賃貸借契約期間の満了に伴って、借主に原状回復費相当額を負担してもらうことは、実務上の慣例として広く行われています。原状回復費相当額を受領する貸主としては、工事の費用に充当する目的で受領しているわけですから、受領した原状回復費相当額については預り金である、という認識をしているケースが多いです。ところが、預り金とは一種の債務を負担しているということであるため、預かった金銭について、返還義務がない今回のようなケースでは、債務として預り金勘定で処理することは不適当となります。

また、個別具体的な判断の基準を示している法人税基本通達2-1-41においても、「保証金等のうち返還しないものの額の帰属の時期」については、「その返還しないこととなった日の属する事業年度の益金の額に算入する」として、返還されない確定収入については、その金額が確定した都度に収益に計上すべき旨が確認されています。

受領した原状回復費相当額については、返還の必要のない、確定した収入と考えることができます。したがって、その収益計上の時期は、原状回復工事の完了日ないし、費用の支払い日ではなく、その金額を受領した日の属する事業年度ということになります。

原状回復費相当額の受領について、収益の計上時期を工事費用の支払い時期とあわせたいのであれば、原状回復費相当額の金額を、工事の費用が確定してから請求する、というような契約内容としておけば問題ありません。

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