試作品についての税務上の問題

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製造業には試作品は当たり前ですが、会計上の処理と税務上の処理とは異なっているため、少し厄介なことが起きます。どのような違いがあって、どのように処理すればよいのか見ていきましょう。

1.税務調査官はどこを見るか

税務上は、試作品といっても「固定資産」に該当する限りは固定資産として処理すべき必要があります。会計上、研究開発費は将来の収益獲得が不確実なため、発生時に全額費用処理するとされています。

税務上は、減価償却資産に当たれば固定費として定義しなければなりません。法人税法上、減価償却資産とは、①建物及び附属設備、②構築物、③機会及び装置、④船舶、⑤航空機、⑥車両及び運搬具、⑦工具器具備品、⑧無形固定資産、⑨生物と定義されています(法法2の23、法令13)

そこで、自己建設、製作又は製造した減価償却資産の取得価額は、以下の金額の合計額で算定されます(法令54①二)。

  • 当該資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額
  • 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

上記の観点から、税務調査官は現物確認調査(資産の現物と資産台帳を照合する調査)を行います。

2.税務上の対応

新製品の開発のために製作した試作品は、それに関連して支出した費用の全額を発生時の費用として処理している場合は、企業会計上の研究開発費の処理としては問題ないのですが、これら試作品が器具備品に該当すると思われ、税務上は固定資産とすべき必要があります。しかしながら、全ての費用を資産とするのではなく、採用されなかった設計費、試行錯誤のために投入した労務費、仕損した材料費は費用として、取得価額に含めない処理を行うのが妥当となります。費用化したものが、上記に当たるかどうか、きちんと税務調査官に説明できるようにしておきましょう。

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