質問検査で取得収集した証拠資料の犯則事件での利用

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最高裁平成16年1月20日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)株式会社A及びBの統括者
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

XはA及びBと共謀して法人税を免れようと企て、架空経費を計上し所得を隠蔽。法人税2億9千万円を逋脱。X及びA、Bは法人税法違反の罪で起訴。本件税務調査は犯則調査の手段として行使されていたため、本件証拠は全て証拠能力を欠くと主張。

1.論点
質問検査で取得収集した証拠資料を犯則事件で活用したときの証拠能力はあるか。

2.判旨 上告棄却
法人税に規定する質問又は検査の権限は、犯罪の証拠資料を取得収集し、保全するため等、犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されないと解するのが相当。しかしこれら証拠資料が犯則事件の証拠として利用されることが想定できても、犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたことにはならない。

3.解説
禁じられる場合は次の通り。
(a) 犯罪の証拠資料を取得収集し、保全するため等犯則事件の調査あるいは捜査のための手段としての質問検査権行使であると明言したうえで、
(b) これに該当するか否かを犯則調査や操作の遂行を容易にしあるいは促進する効果の有無や程度という客観的な結果ではなく、質問検査権行使の際に当該職員が有していた主観に着目して判断
(c) その主観が取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として利用されることの想定にとどまるときは、
直ちに質問検査権の行使を違法にするものではないとした。

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