施工業者からのキックバックがあったときの税務上の注意事項

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社会福祉法人の理事長がその地位を利用して不当に経済的利益を得ていたケースを想定しましょう。例えば、特別養護老人ホームの建設に当たり、その建設を受け負った建設業者(元請)が下請を絡めて、その下請に架空外注費を出させ、その支払先を税務署が調査した結果、社会福祉法人の理事長がもらっていたとしたら、どのようなリスクが生じるでしょうか。

1.水増し資金に対する税務署の対応

本ケースの建設業者のように、水増し代金の受け取りやキックバックを行った税務上の措置として、その水増し資金についてはなかったものという扱いにはなりません。違法な収入であろうとも法人税法上は担税力に着目して課税しますから、虚偽であろうとなかろうと契約書を作成してその代金の受払がなされた以上、キックバックのための水増し分を含めた収入全体を益金と考えます。しかし費用については、違法な支出は損金として認めないという考え方があります。

まとめますと違法な収入は税金が課され、違法な費用はその費用性が認められず、その費用がないものとして税金が課されます。納税者は踏んだり蹴ったりです。違法な収入だからすみません、なかったものにとは、税務署相手には全く通用しない理屈なのです。

理事長の収入を考えて、あまり多くの財産を持っている(入金がある)と税務署から怪しまれます。

2.税務上の対応

キックバック資金の受領については、社会福祉法人から理事長への賞与と認定し、源泉所得税の徴収漏れ分として納税告知処分を行います。また、一連の行為は隠蔽仮装行為のため、重加算税の賦課対象となります。

元受け業者も下請業者に対して水増しした外注費を支出していたことになりますから、元請け業者を所轄する部署に通報されます。また、施設建設資金が補助金の対象となっており、この水増しした建設費用を基になされているとしたら、過大な補助金の不正受給になるため、関係官庁にその通報も行います。

元請業者と通謀して虚偽の証票書類を作成したとして工事代金を水増しして捻出していたことについて、当該行為は国税通則法68条3項に規定する隠蔽又は仮装に該当するため(源泉所得税重加算税指針第1-1(3))、不納付加算税に代えて重加算税が課されます。

ある会社の税務調査から、芋づる式に他の会社の税務調査に発展することがよくあります。首謀者も、また不正計算の協力を余儀なくされた取引先は架空の費用だけが否認されることになり割に合いませんし、キックバック先の名を隠し通せば使途秘匿金課税もされ、重加算税も課されます。中々断れないところもあるかもしれませんが、バレたときの被害も考えて、行動しなければなりません。

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