本店とは別に他県に飲食店を出店しました。
1.ポイント
本店とは別に他県に出店した場合、支店になりますから、本店とは別に法人住民税の均等割りを支払わなければなりません。
2.解説
本店と異なる場所に出店した場合には、支店を開設したと考えて、均等割の計算、源泉所得税、償却資産税などについても影響が出ます。登記の有無は関係ありません。
(1) 均等割の取扱い
(a) 支店を開設していない場合(本店のみである場合)
法人住民税の均等割の判定は資本金等の他、従業員数により金額を判定します。その場合の資本金等の金額は、期末の金額で判断します。
資本金等の額 |
従業員数 |
市町村民税 |
道府県民税 |
1千万円以下 |
50人以下 |
5万円 |
2万円 |
50人超 |
12万円 |
||
1千万円超 |
50人以下 |
12万円 |
5万円 |
1億円以下 |
50人超 |
13万円 |
|
1億円超 |
50人以下 |
15万円 |
13万円 |
10億円以下 |
50人超 |
16万円 |
|
10億円超 |
50人以下 |
40万円 |
54万円 |
50億円以下 |
50人超 |
175万円 |
|
50億円超 |
50人以下 |
41万円 |
80万円 |
50人超 |
300万円 |
(b) 支店を開設した場合
支店の開設した場所により、以下の通り、均等割の計算方法が異なります。
- 本店と支店の都道府県が同じである場合
道府県民税(均等割)の金額の変更はありません。但し、同じ都道府県(均等割)でも、市町村が異なる場合には、市町村民税(均等割)の金額は増加します。
② 本店と支店の都道府県が異なる場合
道府県民税及び市町村民税の金額の両方が増加します。
同一の市町村内に支店がある場合以外は、支店が増えれば均等割も増えます。他県に出店したのであれば、道府県民税及び市町村民税両方の金額が増加することになります。
また、均等割の計算は、支店を開設した日から事業年度終了日までの月数で月割計算します。月数は、支店を開設した日から事業年度終了の日までの月数が1ヶ月未満である場合には、1ヶ月、月数が1ヶ月を超える場合に生じた1ヶ月未満の端数は切り捨てます。
加えて、市町村の均等割の計算には、従業員数が必要となるため、本店、支店各々の従業員数により判定されます。
例えば支店の開設日が8月10日で3月決算の法人の場合、支店がある月数は7ヶ月21日ですので、市町村民税(均等割)の税率が5万円とした場合には、5万円×7ヶ月÷12ヶ月≒29,100円(百円未満切捨)が、納付すべき均等割額となります。
(2)別店舗に係る届出
- 届出書
本店と別の都道府県や市区町村に新たに支店を開設した場合には、速やかに支店設置の届出書を登記簿謄本の写しを添付して、都道府県及び市区町村に提出しなければなりません。
- 償却資産税
償却資産税については、一括して本店で納付を行うのではなく、支店に存在する償却資産に対応する税金は、その所在地の市町村に納付することになります。そのため償却資産を本店、支店の所在地別に把握し、管理しなければなりません。
- 源泉所得税
本店及び支店の給与計算を一括して行っている場合には、その支払事務を取り扱っている事業所の所轄税務署に源泉所得税を納付します。しかし、本店及び各支店ごとに給与計算を行う場合には、給与支払事務所等の開設届を支店ごとに提出しなければなりません。また源泉所得税の納付についても個々の本店、支店ごとに納付することになります。
- 分割基準
複数の道府県・市町村に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人は、分割基準により法人事業税・法人住民税法人割を按分して、関係都道府県・市町村でそれぞれ申告します。なお、分割基準は、法人住民税割の場合は、従業員数ですが、法人事業税の場合には、業種によって分割基準が異なります。