店舗をオープンしてからかなり年数がたち、壁紙が古くなってきたので、200万円かけて張り替えました。
1.ポイント
金額的にも大きいと思ったので資本的支出にも見えますが、建物の維持管理のための費用と考えられるので、全額修繕費に計上できます。
2.解説
修繕費か資本的支出かは、以下のフローチャートで判断できます。
一の修理改良等の費用の金額 |
20万円以上 |
明らかに資本的支出に該当するもの |
|
|
資本的支出 |
60万円未満又は前期末の取得価額の10%以下のもの |
|
|
修繕費 |
||
周期の短い費用に該当するもの |
|
|
修繕費 |
||
その他のもの |
実質判定 |
|
資本的支出 |
||
|
修繕費 |
||||
割合区分 |
支出額―支出額の30%と前期末の取得価額の10%のいずれか少ない金額(A) |
資本的支出 |
|||
上記(A)の金額 |
修繕費 |
||||
20万円未満 |
|
|
|
修繕費 |
まず、明らかに資本的支出に当たるというものは以下の通りです。
(a) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
(b) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
(c) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取り替えに要した費用の額のうち通常の取り替えの場合にその取り替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
次に掲げるような金額は、修繕費になります。
(a) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70 %以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
(b) 機械装置の移設(7 – 3 – 12《集中生産を行う等のための機械装置の移設費》の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(c) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額 を除く。
1) 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合
2) 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合
3) 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合
(d) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(e) 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
次に掲げるものについては修繕費として処理することが出来ます。
(a) その一の修理、改良等のために要した費用の額(その一の修理、改良等が2以上の事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当するものがある場合には、当該連結事業年度)にわたって行われるときは、各事業年度ごとに要した金額。以下7 – 8 – 5までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
(b) その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
そして、「60万円未満」又は「前期末の取得価額の10 %以下のもの」であって、資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることが出来ます。
(a) その金額が60万円に満たない場合
(b) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10 %相当額以下である場合
さらに「その他のもの」及び「割合区分」であって、法人が、継続してその金額の30 %相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10 %相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これらの処理が認められています。