当社では、会社創立30周年にあたることから、5泊7日で海外旅行を実施し、社長、社員20名、外注先3名の合計24名が参加しました。社員一人当たりの費用は30万円で、全額会社が負担し、福利厚生費として費用に計上しました。ほぼ全員が参加し、不参加者について、金銭での支給は行っていません。
1.ポイント
職員慰安旅行を問題なく会社の経費とするためには、社会通念上一般的に行われている職員旅行として、いくつかの要件があります。要件を満たしていない場合、福利厚生費にはなりません。結果は以下のようになります。
(a) 社長の旅行代金30万円は役員賞与とされ、所得税が課税される他、損金の額に算入することができません。
(b) 従業員の旅行代金600万円については、給与とされ、各従業員に所得税が課税されます。
(c) 外注先の旅行代金90万円については、交際費とされ、損金算入に制限を受けることになります。
2.解説
職員慰安旅行を問題なく会社の経費とするためには、社会通念上一般的に行われている範囲を逸脱していないことが必要です。
(a) 日数について
海外での滞在日数が4泊5日以内であること(機内での寝泊まりは1泊としてカウントしません)
例の場合、5泊7日であることから、社会通念上一般に行われている職員旅行とは認められません。
(b) 費用の負担について
会社負担額が社会通念上一般に行われている職員旅行の範囲であること。
一人30万円なので、該当しません。この金額は行事ごとに判断し、数年に一回の旅行だったとしても、1年あたりに引きなおすなどの考慮はすべきではありません。
(c) 旅行に参加する従業員等の数が全従業員数(支店等で行う場合は支店等の従業員数)の50%超であること。
この例の場合該当します。
(d) 自己の都合で旅行に参加しなかった人に、金銭を支給しないこと
この例の場合該当します。
これらの要件を全て満たして海外旅行を実施した場合には、旅行費用の請求明細書・領収書、パンフレット、写真等の証拠資料を整理して残しておくようにしましょう。