建設業で行われる不正経理の動機を大きく分けると以下の4つに分けられます。
(a) 経営者の個人的な蓄財、遊興費捻出
売上を除外したり、架空外注費を上げたりします。
(b) 利益の平準化や税金の過少申告のための利益の繰り延べ
売上を繰り延べたり、未成工事原価から完成工事原価等原価を付け替えます。
(c) 受注工作資金、近隣対策費等領収書のない資金
架空外注費を上げたりします。
(d) 発注者からの不正加担
発注者からの架空売上だったり、それだけ売り上げが高かったり、そしてキックバック資金として架空外注費を上げるような形を取ります。
建設業の不正経理は、業界の中で生き抜くための必要経費でもあるのが痛い所です。また、経営事項審査の評点が公共工事の入札参加資格につながりますから、自社の利益を高める粉飾決算も起こりやすいようです。この場合は納税資金が増えますから、税務署としては、何ともいえないでしょうが。
税務調査官は、原始資料を見て、これが真実の事実関係と仮定して、会計や税務処理が適切に行われているかという観点から検討します。整合性が取れなければ、不正計算や処理誤りを指摘できるようになります。この原始資料も捏造されていれば非常に厄介と言えるでしょう。
不正経理としては、発注書や請書と下請け業者からの請求書の数量や日数、金額を改ざんすることで外注費を水増し計上することが行われます。これらが怪しければ、現場管理資料、見積書、合い見積等を把握して、発注書や請書、請求書等の数値がどれくらい乖離しているかを検討するのです。