大阪高裁平成14年7月25日判決
(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)相続人
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長
Xは本件相続を原因として土地の移転登記をして、相続税申告を行った。Xの配偶者(被相続人)の兄弟が、Xらを被告として贈与、時効取得による所有権移転登記を請求。その兄弟の主張が認められ確定。XはYに相続税の更正請求。Yは更正の理由がないとした。X提訴。
1.論点
他人の時効取得を認める判決が、更正の請求を可能にするか。
2.判旨 控訴棄却
相続開始時においては、兄弟らによる時効の援用はなく時効も完成していなかった。相続時はXが所有権を有していた。別件判決は国税通則法23条2項1号に言う判決には当たらない。
時効制度は、その期間継続した事実関係を保護するために私法上その効力を起算日まで遡及させたものであり租税法においては所得、取得等の概念につき経済活動の観点からの検討も必要で、同様に解さなければならない必然性はない。