取得時効と課税

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静岡地裁平成8年7月18日判決

(事件概要)

X:(原告)

Y:(被告)所轄税務署長

Xは取得時効によって取得した土地に係る所得を収入金額に含めずに確定申告を行った。Yは土地の時効取得による利得は一時所得として課税の対象になる。一時所得に係る収入金額の発生時期は取得時効援用時。総収入金額は所有権取得時。

1.論点

土地の時効取得による一時所得はいつ発生すると考えるべきか。

2.判旨 請求棄却

民法は所有権の取得時効を10年又は20年の占有の継続と時効の援用とによって当該資産の所有権を取得するものとして、時効の効果を当事者の意思をも考慮して生じさせることとしている。援用時に当該資産の所有権を取得する。

所得税法36条1項の「収入すべき金額」とは、収入すべき権利の確定した金額と解すべき。時効援用時に時効取得に伴う一時所得に係る収入金額が発生するものと解すべき。訴訟等が継続していることをもって、時効援用時に一時所得の発生がないということはできない。

3.解説

土地の時効取得による利得は一時所得に該当。

収入すべき金額は、所得税法上の所得の帰属時期に関する大原則である権利確定主義を採用。

なお、現在の課税実務では、「不動産の時効取得に係る一時所得の収入すべき時期は、事項を援用した日による。但し時効取得について当事者間で争いがある場合には、判決等により確定した日とする」との取り扱いがなされている。

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