雑所得と損益通算の可否

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福岡地裁昭和54年7月17日判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)会社役員

Y:(被告・被控訴人) 税務署長

S:商品取引員である訴外会社

XはSと売買取引の委託契約を締結。Sの担当者が大納会で成り行き注文を決済する手続きを失念。翌年売買損失を被った。確定申告で、この損失は前年の損失として雑所得から控除して確定申告。Yは前年分からは控除できないとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは異議申し立て。

1.論点

事業所得と雑所得の区分及び雑所得の損益通算の可否。

2.判旨 控訴棄却

事業とは、個人の危険と計算において独立的に継続して営まれ、事業として社会的客観性を有すると解すべき。

本件でXの商品先物取引は、Sにほとんど一任していたものであり、恒常的な収益を容易に期待しえず、社会的客観性にも乏しいため、事業とは言えない。

所得はその性質により担税力を異にする。担税力に即した公平な課税を行うためにそれぞれの計算法不応と課税方法が異なる。雑所得と他の所得との損益通算の規定がないことは相当の合理性を認めることができ、憲法29条及び22条に違反しない。

3.解説

商品先物取引による生じた損失は投資の失敗ではなく所得の処分・消費にすぎない。

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