マンションの建設工事などで、反対する地元住民に対して建設の同意を得ることができるよう働きかけをするために、地元の有力者に対して謝礼金を支払うことがあります。その金額を未成工事支出金に含め、工事完成基準や工事進行基準に合わせて原価にしていく方法を取ったときに税務上どのような問題になるでしょうか。
1.税務調査官の対応
交際費は税務上原則は損金不算入として扱われますが、いくつか例外があります。例えば、資本金1億円以下の中小法人が各事業年度において支出する交際費等の額から次のいずれかの金額を控除した金額は、当該事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入しないこととされています(措法61の4①②)。
・接待飲食費の額の50%に相当する金額
・定額控除限度額(800万円)に達するまでの交際費等の額
ここでの建設会社が資本金1億円以下であって、定額控除限度額(800万円)に余裕があれば結果として問題にはなりません。ここでは定額控除限度額を使い切っていると仮定しましょう。税務調査官は完成工事原価をみるだけでなく、未成工事支出金も対象にします。そしてこの謝礼金の支出のあった事業年度における交際費等の損金不算入の額の計算の対象に含むことになります。
2.税務上のペナルティ
納税者側から見れば、未成工事支出金に含められた交際費等の額につき、税務調査で所得金額に加算させることは、腑に落ちないのですが、已むを得ません。交際費が1,600万円を超過する場合には、交際費50%に相当する金額を損金算入という戦略を取った方が良いでしょう。