課税権の及ぶ範囲~オデコ大陸棚事件~

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東京高裁昭和59年3月14日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)海底石油等の掘削を事業目的とするパナマ法人
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 芝税務署長
A:パナマ法人だが日本支社を有する、Xがその日本支社を実質的本拠としていた。

Xは法人税の確定申告をしなかった。Yは本件掘削作業の地域は日本の主権的権利が及び、課税権も及ぶから国内すなわち法人税法の施行地であり、Xは「国内において、その作業を1年を超えて行う外国法人」(法税141条2号)に該当し、各対価は国内源泉の事業所得(法税138条1号)であるから法人税の納税義務があるとして法人税の決定処分を行った。

1.論点
試掘地が国内か否か。

2.判旨 控訴棄却
大陸棚に対する主権的権利は、大陸棚の鉱物資源の探索・開発に必要な、それに関連するすべての主権的権利(私法、立法、行政)、を含む。
大陸棚における鉱物資源の探索・開発及びこれに関連する事業から生じた外国法人の所得についての納税義務に関して、法人税法138条から147条までに、具体的に規定されているから、租税法律主義に違反する点はなく、確立された国際法規は国内法の制定を待たなくとも当然に国内的効力を有する(憲法98条2項)

3.解説
Xの受けた対価が国内源泉所得に当たるか、そこにXが恒久的施設を有するかを決定づける。鉱物支店の探索・開発に関し、領域主権の延長が慣習国際法上認められる大陸棚における試掘請負の対価についても我が国の課税管轄権が及び、法人税法上の施行地に該当するとした。
法人税法上、建設、据え付け、組み立てその他の作業に係る事業上のものである限り、契約締結地等に関わらず作業地が国内なら、その全て国内源泉の事業所得となり、PEが認定される。A日本支社をPEとみる。
平成28年4月以降開始事業年度から企業利得に関し全面的に帰属主義化した国内法の適用が始まり、これに基づく場合、Xは文書を整備し独立当事者間基準に従って内部取引を認識し掘削地PEに帰属する事業所得を測定しなければならない。掘削地の及び実質的本拠(A日本支社)に係る事業も一体的に把握される可能性がある。

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