建設業を営む法人ですが、当社が入札に当たり便宜を図ってもらう目的で、日常より取引のある下請業者に対して支払手数料として200万円を支払い、また同様に工事を行うに当たって騒音の発生や車両通行の阻害などについて地元住民への対策費用として1,000万円支払い、これら支払額を支払手数料で処理しておりました。しかし、当該金額は交際費に該当し、損金算入限度超過額は損金不算入として取り扱う旨の指摘を受けました。
1.ポイント
談合金や地元住民への対策費用については、租税特別措置法関係通達第61条の4交際費等に含まれる費用の例示において、(7)建設業者等が高層ビル、マンション等の建設に当たり、周辺の住民の同意を得るために、当該住民又はその関係者を旅行、観劇等に招待し、又はこれらの者に酒食を提供した場合におけるこれらの行為のために要した費用、(10)建設業者等が工事の入札等に際して支出するいわゆる談合金その他これに類する費用については原則として交際費として処理する旨を規定しています。
2.解説
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。但し(1)寄附金、(2)値引き及び割戻し、(3)広告宣伝費、(4)福利厚生費、(5)給与等は交際費に含まれないとされています。通達の中で、談合費及び総会対策等のために支出する費用は交際費に含まれると明示されています。この点、談合費が入札等に際して支払う交際費に含まれるかは地元住民への対策費用の支払が損害を補償する性格に合致するかどうかが焦点となると考えられます。つまり、一般に言う①帰責原因の存在②損害の発生③帰責原因と損害との間に相当因果関係が存在し、損害補償としての性格があれば交際費には該当しないこととなるでしょうが、工事の引き延ばしを単に回避する目的で「供応」を図る意図でなされる場合には交際費として取り扱われることになります。
必要経費であるとの認識であったとしても、書類の不備等により、損金性が認められない可能性があります。日頃から書類の記載に注意し、内容を明らかにしておくようにしましょう。