宗教法人でお布施などの収入を除外する場合もあります。お布施であれば、非課税なので別に隠す必要はないような気もしますが、このお布施を住職や使用人が費消すると、所得税として課税されます。そのため、最初からそのお金はなかったものとしてしまうのです。
お布施収入は、過去帳や塔婆の現物確認をして、帳簿収入との照合をすることで行われます。また、墓石業者や葬儀業者からのリベートもチェック項目です。
不動産の販売は、宗教法人でも課税対象となりますが、宗教法人が自法人の固定資産として保有している不動産の譲渡益は非課税になります。そうなると、その手を使って脱税を試みる奴が出てきます。
不動産業を志す輩が、宗教法人を買収して、固定資産として不動産を取得します。これであれば、不動産を売却して利益を出すことで課税されない、のですが、売買の頻度や利益によっては、税務署が黙って見逃してくれるわけはありません。休眠宗教法人を悪用して、約57億円の所得隠しで摘発された例もあるそうです。
また、別に、休眠状態の宗教法人を購入して、ラブホテルを買収し、その主教法人がラブホテルを運営していた例もあったようです。ちなみにその宗教法人の運営していたホテルの入り口には観音様を置き、部屋にはお布施を容れるトレーも置いていたとか。お布施を非課税として処置したとして、所得隠しを指摘されました。
さらに、ある宗教法人では、これは宗教法人を購入したわけではないのですが、敷地を売却した際に出た譲渡利益を宗教上人名義でプールして、その後住職名義の預金に移し替え、個人的に流用しました。譲渡利益自体は、固定資産の譲渡に当たり、非収益事業のため法人税は非課税になりますが、個人預金に移したことで、さらに個人的に流用したことで所得税を課されました。
いやはや色々な裏金作りがあるものです。宗教法人を隠れ蓑にした脱税案件はこれからも後を絶たないと思われます。