販売促進を図るために、得意先に売上割戻を行うことがありますが、その一部を会社ではなく、その会社の代表個人の口座へ入金したら、税務上どのような問題が起こるのでしょうか。
1.税務調査官の対応
ここでB社とC社を例に考えてみましょう。A社とB社は契約書を交わし、売上割戻に関してもきちんと文書化しています。A社とC社は契約書を交わさず、C社の社長との合意で、しかもC社からの請求書もありません。それでどちらも代表者の口座へ入金されていた場合、どのように扱われるかという問題です。
B社とは契約書上も記載がある通り、売上割戻となりますから、仮にB社の代表者個人への支払があったとしても損金として扱うことはできるでしょう。但し、契約書通り、会社の口座へ入金するのが合理的であると思われます。
C社とは契約書が締結されているわけではありませんし、C社の代表者との合意でなされ、しかもC社代表の個人口座への入金ですから、A社にとっては交際費と言われてしまう可能性があります。
2.税務上のペナルティ
どちらにしても、A社にとっては税務調査官からは会社へ入金するようにとは言われるでしょうが、B社に対する支払いは損金で落とせ、C社に対する支払いは交際費ですから、枠があれば損金に算入できますし、枠がなければ損金に算入できないという処理になります。
B社側ではA社の売上割戻としての処理に対応して、それだけ仕入の金額が小さくなります。つまり仕入割り戻しです。但し、経理ではそのように処理をしていない可能性が高く、仕入割り戻しをして、さらに役員賞与を支払った(事前確定届出給与の届け出をしていないから、損金には算入できない)、あるいは役員に対して貸し付けをしたという扱いになると思われます。
C社側では契約書もなく、根拠がありませんので、C社代表が自ら確定申告をして、所得を計上しなければならないことになると思われます。