売買仲介手数料の収入計上時期

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不動産売買仲介を営む業者ですが、個人の所有するマンションの一室の売買の仲介を成約しました。売買契約を3月に取り交し、契約時に売買代金の10%、不動産引渡し予定時期の6月に残金の90%を支払って引渡し完了の見込みです。

さて、当社の売買仲介手数料は契約時50%、引渡し時50%の契約を結んでおり、3月契約時に50%を受領済しております。3月決算ですが、本契約は引渡しが完了していないため、預かり金処理をしました。

1.ポイント

不動産の売買仲介手数料は、通常契約時50%、引渡し時に50%受領します。売買契約後、契約がなんらかの都合によって解約になったとしても契約時に受領した50%の手数料収入は返金しない約定になっています。税務調査の指摘は、物件の引渡しが未了であっても、契約時の売買仲介手数料は返金しないことが確定していることから、契約時に収益として計上しなければなりません。

2.解説

宅地建物取引業者が行う不動産売買の仲介あっせん業務は、一種の請負契約と考えられます。本来は売買業務の完了である物件の引渡しが完了して初めて報酬の請求権が発生するため、3月時点において預り金として処理をすることで、収益計上しないことは考え方としてはありえますが、引渡後の請求ということになれば値引きを要求され、報酬額が不安定になるために、売買契約時に仲介手数料の契約も同時に取り交し、契約時に50%の手数料、引渡時に50%の手数料を収受することが多く見られ、契約時の50%の手数料は、契約が未了に終わったとしても請負業務の一部を行っていることなどから、返金しないことが一般的です。

法人税法においても、法人税基本通達に(不動産の仲介あっせん報酬の帰属の時期)という規定があります。「土地、建物等の売買、交換又は賃貸借の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額は、原則としてその売買等に係る契約の効力が発生した日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、法人が、売買又は交換の仲介又はあっせんしたことにより受ける報酬の額について、継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、当該金額については収受した日)の属する事業年度の額に算入しているときは、これを認める」とあります。

売買契約時に仲介手数料の50%を受領せずに、不動産引渡し時に全額の仲介手数料を受領するという契約にしておけば、3月決算時の収益でなく、6月引渡し時の収益とすることができます。そのときには、売主等との仲介契約書等において仲介手数料の収受を引渡し時に全額と記載しておく必要があります。

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