過大徴収電気料金の返還の収益の計上時期~相栄産業事件~

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最高裁平成20年9月16日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)自動車部品の製造等をする株式会社

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

電力会社から過大な請求をされ、それに基づいて損金に算入して法人税納付を行ってきた。Xはその後、過収電気料金を徴収されていた期間を各年度の損金の額から減額する修正申告を行ったところ、Yは返戻金全額を本件事業年度の益金に計上すべきであるとして、更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分。Xは取り消しを求めた。

1.論点

過年度の支払い電気料の計算に誤りがあることが判明したため、電力会社から返還を受けた過払返戻金は当期の収益に加算されるべきか、あるいは過年度の支払い電気量の減額として調整されるべきか。

2.判旨 上告棄却

電気料金等の過大支払の日が属する各事業年度に過収電気料金等の返還請求権が確定した者として、各事業年度の所得金額の計算をすべきであるというのは相当ではなく、本件過収電気料金等の返還請求権は、計量装置の計器用変成期の設定誤りが発見された事実で両社間で本件確認書により返還すべき金額について合意が成立したことで確定したとみるのが相当。

3.解説

返還請求権の確定は、過去の過払年度ではなく、過払いの事実が判明し返還額について合意した時点であると解した。

当時の企業会計上は、過去の決算を事後的に修正することは想定せず、一定の項目について前期損益修正を認めていたにすぎない。一方、税務会計上は、企業会計上の基準を尊重しつつも、過年度の所得計算は修正申告や更正処分で遡及して修正することを制度的に予定している。

現在の企業会計基準は、前期損益修正損益を当期の特別損益に計上する従来の方法から、原則として過年度諸表に遡及して修正し、再表示および注記を行う方法に変更された。誤謬は当該過年度の損益であることを明確化。

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