輸出取引に係る収益の計上時期~大竹貿易事件~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人・上告人)輸出業者

Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長

通常、輸出取引による収益計上は、船積時を基準としているが、Xは、荷為替手形を取引銀行で買い取ってもらう際に、船荷証券を取引銀行に交付することで商品の引き渡しをしたものとして、荷為替手形の買い取り時点で収益を計上した。

Yは公正会計処理基準に適合しないとして、税額の更正。取り消しを求めてXが出訴。

1.論点

法人税法22条の収益計上基準につき、船積み時と為替取り組み時のどちらが公正処理基準に合致するといえるか。

2.判旨 上告棄却

ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理基準に従うべきとする。取引の経済的実態からみて合理的なものとみられる収益計上の基準の中から、当該法人が特定の基準を選択し、継続してその基準で収益計上をしている場合には、法人税上もその会計処理を正当なものとすべき。

今日の輸出取引では、商品の船荷時点で売買契約に基づく売主の引き渡し義務の履行は実質的に完了したものとみられ、売り主は商品の船積みを完了すれば取引銀行に為替手形を買い取ってもらうことで代金相当額を回収できるため、船積時点において、収益に計上するという会計処理が妥当。

Xの会計処理は、船荷証券の交付は売買契約に基づく引き渡し義務の履行としてされるのではなく、為替手形を買い取ってもらう担保としてそれを取引銀行に提供するものであるから、この交付時点をもって売買契約上の商品引き渡しがあったとすることはできない。商品の船積によって既に確定した売買代金請求権を回収時点まで待って収益に計上するものであって、収益計上時期を人為的に操作する余地を生じさせる点において、公正妥当な会計処理基準とは言えない。

3.解説

輸出取引に係る会計基準の適合性を判断する要素として、占有・所有権、危険負担等の移転時期、代金回収の確実性、公平な所得計算、実務上の通用性等が考えられる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

税理士がいない!税務調査立ち会い代行します

税務調査プロでは、

個人事業主、フリーランスの方など税理士がいない方への

税務調査立ち会い代行サービスを行っております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


ご相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*