退職所得の計算方法を教えてください。
1.ポイント
退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。
2.解説
退職手当等の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人の場合は、退職手当等の支払者が所得税額を計算し、その退職手当等の支払の際、所得税及び住民税の源泉徴収が行われるため、原則として確定申告は必要ありません。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人は、退職手当等の支払金額の約20 %が源泉徴収されますが、退職所得の受給者本人が確定申告を行うことにより税額の精算をします。
退職所得は、退職金の金額から、退職する人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した金額の2分の1の金額に対して税率を乗じて計算するため、勤続年数が長いほど支払う所得税は少なくなります。
退職所得の計算方法は、以下の通りです。
(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額
上記の退職所得控除額は、以下のように計算します。
退職所得控除額の計算の表
勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円× A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 40万円× A
800万円+70万円 ×(A-20年)
※1 障がい者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100 万円を加えた金額となります。
※2 前年以前に退職所得を受取ったことがあるとき又は同一年中に2 か所以上から退職金を受取るときなどは、控除額の計算が異なることがあります。
ここで事例をあげてみましょう
(a) 勤続年数10年3か月の場合
退職所得控除額勤続年数は端数の3ヶ月は1年に切上げのため11年になります。
40万円×(勤続年数)= 40万円 ×11年= 440万円
(b) 勤続年数が30年の人の場合における退職所得控除額
800万円+ 70万円 ×(勤続年数−20年)
= 800万円+ 70万円×10年= 1,500万円