未払計上された社会保険料の見積もり計上は可能か

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通常は〇月決算という場合には月末に決算日があるものですが、まれに月の途中で決算期を迎える会社があります。そのような特殊な決算期のある会社で、未払計上された社会保険料の見積もり計上が可能かどうかという話です。つまり社会保険料の見積もり計上が可能であれば、損金になるということになります。社会保険料は通常月末でないと確定しません。

1.税務調査官はどこを見るか
仮に3月20日に決算期を迎える変わった会社があったとします。そこで従業員の3月1日から20日の間の勤務に対応する社会保険料の会社負担額を、前月の納付実績を基礎として日数案分して算定して費用を認識することができるのでしょうか。

実は、従業員の職責にもよります。総務や営業部門等の販管費で処理する従業員、工場スタッフなどの原価で処理する従業員でその対応が異なるのです。

工場勤務の従業員に対する月初から20日までに対応する社会保険の会社負担額については、費用収益対応の原則から見積もり計上が認められますが、本社勤務の従業員に対する同社会保険の負担額については債務確定基準により判断され、決算期末時点で債務が確定していないため損金算入は認められないのです。

売上原価については費用収益対応の原則を重視し、確定した売り上げに対応する原価である限り損金算入が認められています。つまり金額や支払い義務が期末までに確定していなくても、期末日の現況によりその金額を適正に見積もり、その見積もった金額を損金の額に参入するものとされています(法基通2-2-1)。一方販管費については期間対応費用として扱われ、その事業年度に期間的に対応する費用が損金の額に算入でき、債務の確定しないものは損金算入が認められません。

社会保険被保険者が月末において在職している場合には保険料を翌月末日までに納付しますが、被保険者が月の中途で退職した場合には、同社の退職月に係る保険料を納付する義務はありません。つまり3月20日が決算日ですと、2月分までの社会保険料は月末に在籍した従業員が明らかですから債務として確定していますが、3月月初から3月20日までの社会保険料については、期末である3月20日時点では3月末時点で在籍する従業員が未確定ですから、債務が確定していないと考えます。

2.税務上の対応
工場スタッフに属する売上原価に含まれる社会保険料は見積もり計上が認められますが、本社勤務のような販管費に含まれる社会保険料は、仮に見積もり計上していれば、損金算入は認められないという処理になります。

なお、給与計算上、月末締め翌10日払いとなっていた場合、3月中の給与は4月10日に支払われますが、3月月初から3月20日までの給与については、その支給義務は3月20日時点で既に生じていますから、給与自体は損金の額に算入されます。但し、社会保険料は給与と債務確定日が連動しないので注意が必要です。

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