最高裁平成20年9月16日第三小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・被控訴人・・附帯控訴人・被上告人)NTTドコモ
Y:(被告・控訴人・上告人) 税務署長
A:PHS事業者
XはA社からPHS事業の営業譲受。エントランス回線利用権を取得。少額減価償却資産に該当するとして、取得価額全額を損金算入。Yは少額減価償却資産に当たらないとして法人税の更正処分。Xは不服として出訴。
1.論点
エントランス回線利用権(7万2,800円)が少額減価資産に当たるか否か。取得価額は1回線に係る権利一つごとで判定されるか、保有することになった利用権全体で判定されるのか。
2.判旨 上告棄却
エントランス回線利用権は、エントランス回線1回線に係る権利一つを1単位として取引されている。権利一つでもって、XのPHS事業において、上記の機能を発揮することができ、収益の獲得に寄与することができる。
エントランス回線1回線に係る権利一つをもって、一つの減価償却資産とみるのが相当。法人税法施行令133条の適用に当たっては、上記権利一つごとに取得価額が10万円未満のものであるかどうかを判断すべき。本件権利はその一つ一つが同条所定の少額減価償却資産に当たる。
3.解説
少額減価償却資産該当性について、1単位として取引されていること、資産としての機能を発揮することができる状態にある、ことの二つの基準を持って判断したといえる。