不動産の仲介を行う業者ですが、個人の所有するマンションの一室の売買を仲介しました。売買契約は12月で、慌ただしく、個人同士の売買であったことから、売買契約書には取引総額の記載のみで建物の消費税金額の記載をしていませんでした。3月になり、買主の方から事業所得があり、確定申告をしなければならないが、建物の消費税額の記載がないため、確認してほしい旨の連絡がありました。
1.ポイント
売買契約書にはかならず消費税の記載をしなければなりません。不動産取引には、消費税が課税されるものと課税されないものとがありますが、建物売買には消費税がかかるため、建物部分の消費税額を契約書に記載する必要があります。消費税導入に合わせて出された建設省(現国土交通省)の通達により、不動産業者が作成する売買契約書には消費税を明記することとなっており、これに違反するものは宅地建物取引業法の規定により50万円以下の罰金に処される場合があります。
2.解説
消費税法上、土地及び土地の上に存する権利の譲渡、貸付けは非課税取引となります。マンション一室の売買には建物と土地の上に存する権利としての敷地権の両方の取引となるため、敷地権部分には消費税は課税されませんが、建物部分は消費税が課税されます。売買契約書には、宅地建物取引業法により消費税の記載が必要であり、記載しない場合には50万円以下の罰金に処されます。また、不動産業者に対する行政処分もありますので、注意が必要です。