グローバルキャッシュマネジメントにおける消費税の取り扱い

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財務戦略の一環として、グループ企業の余剰資金を海外の金融会社に集中させて一元管理してその効率的な運用を行っております。本社が海外の金融子会社に資金を貸し付ける場合には、消費税はどのように取り扱われるのでしょうか。

1.金融子会社とキャッシュマネジメント

キャッシュマネジメントには、ノーショナルプーリング(notional pooling)とゼロバランス(Zero Balance)があります。

前者のノーショナルプーリングとは、当該システムに参加するメンバーのキャッシュバランスを名目的に相殺する仕組みで、後者のゼロバランスとは、特定の法人の銀行口座をマスター口座、グループ法人の銀行口座をサブ口座として、サブ口座の残高をゼロにするように一定期間ごとにサブ口座からマスター口座へ実際に資金を移動させる仕組みです。

2.金融子会社に係る消費税の取り扱い

利子を対価とする金銭の貸付に係る内外判定は、当該貸し付けを行う者のその事務所の所在地によることとされています(消法6③)。海外に金融子会社を設立して、日本から余剰資金を貸し付けた場合、消費税法上、当該貸し付けは国内の事務所からの貸付となりますので、国内取引に該当します。国内取引に係る利子を対価とする金銭の貸し付けは、消費税の非課税取引とされます。

貸付金の利息は非課税売上です。課税売上割合の計算上、分母に加算されます。但し、その金銭債権の債務者が非居住者であれば、課税売上割合の計算上非課税資産の輸出等とされ、貸付金利息の金額はその分母及び分子の双方に含めることになります。

非居住者である海外金融子会社に日本本社が貸し付ける貸付金に対し金融子会社が支払う利息は、課税売上割りあの計算上非課税資産の輸出等とみなされ、その金額は分母及び分子の双方に含められるので、課税売上割合を押し上げる効果があります。

他方、金銭債権の非居住者への譲渡は、課税売上割合の計算上非課税資産の輸出等とは取り扱われず、金銭債権の非居住者への譲渡対価の額は、課税売上割合の計算上分母にのみ加算されることとなり、課税売上割合を押し下げる効果があります。

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