オーナーとサブリース契約をして賃貸業を営む不動産業者で、主に、法人対象のテナントビルを取扱っており、事務所として賃貸借契約を締結しています。契約書には、賃料を建物部分と土地部分に区分して記載しているため、建物部分に係る賃料は課税売上、土地部分に係る賃料は非課税売上として消費税額を計算しておりました。
1.ポイント
消費税法上、事務所の貸付けの対価として収受する賃料については、土地部分と建物部分に区分する契約をしている場合でも、それぞれの賃料の合計額を建物部分の賃料とすると解釈することとなっています。つまり、事務所の貸付けの対価として収受する家賃については、施設の利用に伴って土地が使用されているため、土地部分に係る賃料についても、課税対象となります。
2.解説
土地の貸付けのうち、施設の利用に伴って土地が使用される場合には、その土地の貸付けは非課税には該当せず、課税対象となります。一方で、事務所家賃を支払う相手方は、家賃の全額が仕入税額控除の対象となります。
今回の事例のように土地付き建物の貸付けの場合には、対価の全額が課税対象となる一方で、類似の取引で消費税の取扱いが異なるものとして以下の2つが挙げられます。
(a) 土地付き建物の一括譲渡
建物の対価は課税、土地の対価は非課税となります。
(b) 居住用の住宅としての建物の貸付け
対価の全額が非課税となります。
なお、居住用・事業用の併用をしている場合には、使用割合で按分し、事業用部分の対価は課税、居住用部分の対価は非課税となります。