外国法人の日本支店が、日本法人に組合の出資持分を譲渡する場合に、消費税はどのような扱いになるのでしょうか。
1,外国法人の日本支店の消費税の納税義務
消費税の納税義務者は国内において課税資産の譲渡等を行う個人事業者及び法人です(但し免税事業者を除く)。外国法人も含まれます。当然のことながら外国法人の日本支店も含まれます。
さて、民法上の組合や匿名組合の出資持分は、株式や出資金と同じく、取引対象の資産ですので、その譲渡は事業として対価を得て行われる場合には消費税法上も資産の譲渡に該当すると言えます。
しかしながら、これら出資持分と法的性格が最も近いものは有価証券と言えるでしょう。有価証券の譲渡は非課税とされています。従って、民法上の組合や匿名組合の出資持分の譲渡は、有価証券と同様に非課税とされるものと考えられます。
ちなみに売却対象の民法上の組合や匿名組合の出資持分は、その主たる事務所が日本国内ですので、持分譲渡は国内取引となります。
2.民法上の組合や匿名組合の出資持分の譲渡に係る課税売上割合の計算
有価証券は、特例措置があって、課税売上割合の計算上、有価証券の譲渡の対価の額については、その5%相当額のみを分母に算入すればよいとなっています(消令48⑤)。
しかしこれら特例措置の適用を受けるのは、消費税法別表第一第2号に規定される有価方圏であり、消費税法施行令第9条第1項第2号に規定される「有価証券に類するもの」は含まれておりません。
従いまして、民法上の組合や匿名組合の出資持分の譲渡については、その対価の全額が課税売上割合の分母に算入されます。