![](https://tax-inquiry.business-relations.co.jp/wp-content/uploads/2020/11/201113-289x214.jpg)
最高裁平成4年7月14日第三小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)土地・建物の購入者、銀行借り入れをした者
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長
Xは土地建物を購入し、銀行から借り入れを行った。確定申告時にこの借入利息を全額控除(取得費に算入)。Yは取得費に算入できる利子は資産の使用開始前に相当する部分であるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。
1.論点
不動産を取得するための借入金利子は譲渡所得の計算上、所得税法38条1項に言う資産の取得に要した金額に当たるか否か。
2.判旨 上告棄却
(取得費の)資産の取得に要した金額には、当該資産の客観的価格を構成すべき取得代金の額の他、登録免許税仲介手数料等の当該資産を取得するための付随費用も含まれる。
借入金の利子は個人の日常的な生活費にすぎない。しかし借入後、個人が不動産に住むまでは相当の期間を要するのが通常。不動産を使用せずに利子の支払いを余儀なくされる場合、不動産を使用するまでは準備費用と言える。
借入金利子のうち、当該不動産の使用開始の日以前の期間に対応するものは、資産の取得に要した金額に含まれ、当該不動産の使用開始の日の後のものはこれに含まれない。
3.解説
その後通達が改正。当該不動産の使用開始の日以前の期間に対応する利子に限り、取得費に含まれるとした。