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東京高裁平成18年8月17日判決
(事件概要)
X:(原告・控訴人)金融機関
Y:(被告・被控訴人)税務署長
Xは内国法人と社債発行会社発行の社債に係る元利金償還債務の履行引き受けを内容とするデット・アサンプション契約を締結。これは契約締結で債務は消滅しないものの、金利負担を削減でき、会計上は償還がされたものとしてオフバランス処理ができる。実質的には繰上償還と同じ経済効果が得られる。
なお、契約の要旨は次の通り。
Xは元利金支払い債務の履行を引き受け、社債発行会社にかわし、元利金を相手先に支払う。
Xが債務を負担し、保証人になる契約ではない。原契約の権利義務関係は影響しない。
社債発行会社はXに一定の金員を預託。
Xが支払い義務を負担している間はXから金員の返還を受けられない。
Xは本件金員を支払利息として処理。
Yは、Xの金員の支払いは所得税法23条1項の預貯金の利子の支払いに当たり、源泉徴収義務があるとして納税告知処分及び不納付加算税の賦課処分決定、Xは異議申し立て。
1.論点
デット・アサンプション取引という特殊な金融取引において、預託を受けた金員が預金、履行を引き受けた債務の額と預託金との差額部分が利子所得に当たるか
2.判旨 控訴棄却
預金の利子の発生原因は、当該金銭消費寄託契約における利息の約定。
本件契約は各支払日を返還期限として、A金員の寄託を受け、金員に寄託を受けた期間に係る利子に相当する本件金員を加算した額をB金員として返還するという預金契約と。預託されたA金員及びその利子を原資として、B金員を本件各社債発行会社に変わって支払うという委任契約とが複合した契約であって、本件金員は、各社債発行会社が銀行であるXに消費預託した預金に対する利子にあたる。