消費税簡易課税制度のみなし仕入率

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売上も費用も安定した建設業であったため、消費税は簡易課税制度を選択していました。ところが、ある年度の決算では課税売上高が前年を大きく下回り、従業員を同業他社に依頼して、常用人工として従事させました。

令和2年の売上高の内訳は、請負と常用人工が半分ずつ、売上は2,000万円でしたが、建設業につき製造業等の第3種事業に該当するので、当該課税売上高にみなし仕入率70%を乗じて控除対象仕入税額を計算しました。

(a) 売上げに係る消費税額
20,000,000円(課税標準額)×10%=2,000,000円

(b) 控除対象仕入税額
2,000,000円×70%=1,400,000円

(c) 納付税額
2,000,000円−1,400,000円=600,000円

1.ポイント
業種区分は事業全体ではなく1取引ごとに判定する必要があります。第3種事業に該当する建設業でありますが、常用人工売上高は消費税上は加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業として、第4種事業に該当することとされていますので、みなし仕入率60 %を乗じて控除対象仕入税額を計算しなければなりません。

2.解説
第3種事業と第4種事業を分けて考えなければなりませんので、以下のようになります。

(a) 売上げに係る消費税額
20,000,000円(課税標準額)× 10%=2,000,000円

(b) 控除対象仕入税額
・第3種事業に係る消費税額:10,000,000円×10%=1,000,000円
・第4種事業に係る消費税額:10,000,000円×10%=1,000,000円
2,000,000円×0.65(※みなし仕入率)=1,300,000円
※みなし仕入率:
(1,000,000円×70%+1,000,000円×60%)÷2,000,000円=0.65

(c) 納付税額
2,000,000円−1,300,000円=700,000円

簡易課税制度は中小事業者の消費税事務負担の軽減を目的とした特例制度ですが、業種区分判定は大変難しいものです。建設業の場合、材料の無償支給による工事や今回のような加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業は第4種事業に該当しますので、請負契約書や材料の調達方法はその都度確認することが必要です。

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