相続時精算課税制度を理解しないまま贈与を受けて失敗

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「相続時精算課税制度」を選択すれば2,500万円までは贈与税がかからなくてすむことを知り、手続きをしました。その年だけは2,500万円をもらいましたが、翌年からは110万円に戻してお金をもらっていました。

1.ポイント

相続時精算課税制度は、贈与税が非課税でも相続時に「相続税」として精算される制度です。相続時精算課税制度を選択して申告した翌年以降は、110万円以下であれば贈与を受けても贈与税がかからないなんてことはありません。

2.解説

事例によれば以下のように誤った申告をしてしまったようです。

【誤った申告】

贈与税

110万円

2,500万円

110万円

110万円

110万円

110万円

贈与税申告

申告なし

精算課税申告

申告なし

申告なし

申告なし

申告なし

相続税申告

 

 

 

3年内贈与加算で申告

本来は以下の通りになります。

【正しい申告】

贈与税

110万円

2,500万円

110万円

110万円

110万円

110万円

贈与税申告

申告なし

精算課税申告

精算課税申告

精算課税申告

精算課税申告

精算課税申告

相続税申告

 

精算課税贈与加算で申告

(a) 相続時精算課税制度の概要

相続時精算課税制度は、贈与時の税負担を少なくしておいて、相続時に後払い(精算)する制度ですが、非課税枠2,500万円という数字だけが一人歩きをして、制度をよく理解しないまま使っている方が多いようです。

<相続時精算課税制度の概要>

非課税枠選択後、一生の累計額2,500万円
適用対象者贈与者は満60歳以上の親や祖父母 受贈者は満20歳以上の子や孫(養子を含みます)
申告必ず届出及び申告が必要
税率一律20%
相続税との関係相続発生時に贈与財産は全て相続財産に持ち戻され相続税が計算されます。

累計2,500万円まで非課税というのはあくまでも「贈与税が非課税」というだけであり、相続税も含めて税金がまったくかからないということではありません。

なお、年110万円までは非課税という通常の制度(これを「暦年課税制度」といいます)についても、相続開始前3年内の贈与については、贈与財産の価額を相続財産に加算する「3年内贈与加算」という仕組みがありますが、相続時精算課税制度による贈与については、3年を超える、例えば10年以上前の贈与であっても、制度選択後の贈与について全て相続財産に加算して相続税の申告をしなければなりません。

(b)相続時精算課税制度と暦年課税制度の選択

相続時精算課税制度を選択した後は、その選択をした父母・祖父母からの贈与について暦年課税制度を使うことができません。例えば父からの贈与について相続時精算課税制度を選択して2,500万円をもらった後、父から110万円の贈与を受けた場合には、110万円×20%=22万円の贈与税を申告し、かつ、父の相続時には2,500万円だけでなく110万円も相続財産に加算して、相続税で精算しなければなりません。このとき、すでに支払った22万円の贈与税は相続税の前払いとして相続税から控除することができます。

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