海外財産であれば国税から捕捉されづらかったというのは確かでしょう。しかし、パナマ文書でも次第に情報が表面化されてきましたが、国税の捕捉率は間違いなく上がっているといえます。
1.国外財産調書制度
国外財産調書制度では、年末時点で5,000万円超の国外財産を持つ人を対象に、財産の内容や金額などを翌年3月15日までに税務署に提出することを義務付けています。未提出のペナルティとしては、過少申告加算税が5%科され、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
一度提出してしまえば、国税から相続に至るまで財産を捕捉されます。そのため、どうしても隠したくなる気持ちもわかります。そもそも未提出のペナルティもあまり大きくないことが原因でしょう。
ちなみにアメリカでは、海外の金融資産の恋の開示深刻違反は10万ドルか海外金融資産の50%のどちらか高い方に未開示年数(上限8年)を乗じた額が罰金として科されます。悪質であれば刑事罰にもなります。今後、日本でも厳罰化していく可能性もあるでしょう。
2.CRSによる対応
自主申告が進まないために、租税条約を提携している先には、CRS(Common Reporting:共通報告基準)の情報を、海外から直接提供してもらうことになります。ここでの情報は、口座保有者の個人情報、収入情報、残高情報などです。ここで受領した情報の提供先は、シンガポールや香港、スイス、オーストラリアはもちろんのこと、マン島やケイマン諸島のようなタックスヘイブンも含まれています。
香港やシンガポール、スイス等は日本人富裕層が国外資産運用拠点にしている場合が多いため、富裕層の口座全てが開示されていると思った方が良いと思います。今のところ大丈夫だと高をくくっていても、そのうち確実にやってくると思われます。そのため、無申告の財産がある場合には、早めに申告漏れだったとして、自主申告した方の身のためです。
もちろん、財産を把握しても、申告漏れの額まで把握するのは容易ではないため、巨額な資産から優先的に、お尋ねや税務調査等で実態解明が進められることになるでしょう。1億円以下だからと安心してはなりません。あなたの財産は既に国税庁からガラス張りだと思った方がいいのです。