建設業は、工事の着工から引き渡しまで1年以上かかることが多いために、独自の会計制度を取っています。長期請負工事に関する収益の計上は、原則、工事進行基準が強制適用となります。わかりやすく言えば、完成時に売上と費用をドカンと決めるのが難しいために、何年かに分けて工事が完成するのであれば、その工事の完成度合いに応じて、それぞれの年度で収益と費用を分けて計上しましょう、ということです。
この建設業会計の特殊性を逆手にとって、税務署をちょろまかそうという輩がいます。バレてしまうのでやめましょうと言いたいところですが、どのような方法かを以下、記載しましょう。
1. 税務調査官の見抜き方
ある建設会社が戸建住宅を扱っているとします。Aという戸建てが完成しつつあり、Bという戸建てがこれからだったとします。そこでBという戸建ての基礎工事を、Aという戸建ての基礎工事にしてしまって、原価を計上してしまいます。既に基礎工事が完了し、内外装工事が行われているAという戸建てで、再び基礎工事をやっているとして請求書を下請け業者華佗させていました。本来は未成工事支出金として資産勘定(一種の棚卸資産勘定)で計上しなければならないものを、原価計上してしまうことで、利益を圧縮したわけですが、基礎工事が2回でダブっていることや、下請業者に反面調査をしてしまえば簡単にばれてしまいます。
2.税務上のペナルティ
完成工事原価でなく、未成工事支出金ですから、重加算税の対象となります。原価を他の現場に付け替えてしまえば、どこかで矛盾が生じます。その時点ではうまくごまかせたとしても、翌年度もまた同じような方法を取らないとなりません。丸ごとの付け替えではなく、人夫代金の一部を別の現場で請求させる手口で、もう少しマイルドにやるケースはありますが、見積もりや設計図面まで遡って計数分析をすれば、バレてしまうと思われます。