確定決算主義

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福岡地裁平成19年6月19日第三小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・控訴人)不動産賃貸業を営む有限会社

Y:(被告・被控訴人) 国

Xは青色申告を提出したが、旧決算報告書は税理士資格を有しないものが作成し、社員総会の承認を得ていないこと、保有上場株式の価値が著しく低下しているにもかからず、それが計上されていないことで修正を加えた決算報告書を作成し、再度申告を行った。

Yは、増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは取り消しを求めて審査請求。

1.論点

株主総会の承認を得ていない確定申告書は無効とできるか。

2.判旨 控訴棄却

法人税法74条1項にある、会社は法人税の申告に当たり各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に確定した決算に基づいて申告書を税務署に提出するとの規定は、株主総会の承認を受けた決算を基礎として計算させることで、正確な所得が得られる蓋然性が高いことを意味している。しかし我が国の株式会社の大部分は、代表者等の一部のもので決算が組まれ、申告されているのが実情であり、株主総会の承認を確定申告の要件とするのは、現実的ではない。従って株主総会の承認を得ていないからといって、その確定申告は無効とならない。

3.解説

傍論として、決算がなされていない状態で概算に基づき確定申告がなされた場合は無効にならざるをえないとした。

なお、国税通則法では、帳簿書類の押収その他やむを得ない事情により課税標準又は税額などの計算の基礎となるべき帳簿書類その他の記録に基づいて国税の課税標準等又は税額等を計算できない場合は更正の請求を認めているが(税通23条2項3号)、このような状況での確定申告でも適法かつ有効なものとして取り扱うことを前提としている。

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