後継者に自社株式を贈与したいのですが、多額の贈与税を後継者が払う必要があると指摘されました。
1.ポイント
自社株式の贈与にあたっては、経営権の承継だけでなく、税金についても配慮しなければなりません。株価が上昇しているタイミングで贈与すると、同じ株数であっても贈与額が多額になり贈与税も多額になってしまいます。
2.解説
株価が下がったタイミングで贈与すれば、贈与税の負担を軽減することができます。これにはいくつかの方法が考えられますが、例えばAさんには役員退職金を受け取って退任してもらい、新たに長男を社長にする。これにより、会社の利益を押し下げ、株価を一時的に下げることができます。この株価が下がった時、長男に自社株式を贈与する方法です。自社株式対策としては以下のようなものが挙げられます。
自社株式対策の例示
類似業種比準価額方式の対策 | 説明 |
2年間無配当(低率配当) | 要素のうち1つの配当額を下げることで株価を引き下げます。※配当額は2年間計算の対象となります。 |
短期前払費用の損金計上 | あるタイミングで費用を計上し、利益を引き下げます。また、利益の引き下げの結果、純資産価額の引き下げにもなります。 ※利益は株価の計算上他の要素の3倍の引き下げ効果があります。 |
役員退職金の支払い | |
役員報酬等の増額 | |
不良債権の貸し倒れ処理 | |
不良在庫・固定資産の廃棄 | |
特別償却が可能な資産の購入 | |
損金性の高い保険商品 | |
純資産価額方式の対策 | 説明 |
不動産の取得 | 純資産価額方式における計算では、相続税評価額を用いるため、時価と相続税評価額に乖離がある資産を取得すれば評価が下がります。但し、取得後3年以内は時価で評価されるため、効果が出るのは3年後であることにご留意下さい。 |
合併・買収 | 債務超過の会社を吸収合併した場合は純資産価額を引き下げる効果があります。しかし株価引き下げのみにとらわれ、不要な合併・買収を行うと、会社に悪影響を及ぼす可能性があります。 |