法人への移行タイミング

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今までは個人事業でしたが、儲かってきたこともあり、法人化することにしました。

1.ポイント

個人事業による所得税等の税負担率は法人に係る法人税等の税額とは異なります。この税率の差異により、法人で事業を行うことで節税効果が生じることがあります。

2.解説

法人成りは、事業リスク分散ができること、人材採用面で有利に働くこと、経営改善などの推進が容易となること、対外的信用が増大すること等の利点があり、節税効果の面においても様々なメリットがあります。

法人成りによる税務上での代表的なメリットは以下の通りです。

  • 所得税等の税負担率と法人に係る法人税等の税額との差異

個人所得税の税率は超過累進税率(課税所得が多額になるほど、税率も高率となっていきます)で、税率の幅は5 %〜45%となっています。(個人住民税を加えた場合には15 %〜55 %となります。)

さらに個人事業税は290万円の事業主控除後の金額に対して5 %の比例税率(一定の税率。業種によって税率が異なり、飲食店業[第1種事業]は5 %となっております)で課税されます。それに対して、法人税や法人住民税の税率も比例税率ではありますが、実効税率は約37%となります。この税率差異により法人にて事業を行った方が有利な場合もあります。

所得税の税率表

課税される所得金額 税率 控除額
195 万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10 % 97,500円
330万円を超え695万円以下 20 % 427,500円
695万円を超え900万円以下 23 % 636 ,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

(令和2年度現在)

  • 事業所得と給与所得の取扱いの差異

法人にて事業を行った場合、個人事業では認められなかった経営者への給与支払いが認められます。従って、法人成りすれば、個人事業時には事業所得として所得税が課税されていた収入が、法人からの給与による収入(=給与所得)へと転換されます。給与所得には給与所得控除が認められており、給与所得控除額分だけ所得税が課税されなくなりますので、所得税の節税効果が生じることとなります。

給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,625,000円以下 550,000円
1,625,000円超~1,800,000 円以下 収入金額×40 %-100,000円
1,800,000円超~3,600,000               円以下 収入金額×30 %+ 80,000 円
3,600,000円超~6,600, 000円以下 収入金額×20 %+ 440,000 円
6,600,000円超~8,500,000円以下 収入金額×10 %+ 1,100,000 円
8,500,000円超~ 1,950,000円

(令和2年度現在)

  • 所得の分散

事業により生じた利益を法人に留保するできます。そして経営者、経営者の配偶者、子ども等に給与を支給することで、所得を分散することもできます。但し、経営者(社長)やその親族(役員)への役員給与は、不相当に高額な部分は経費となりません。

  • 相続税対策

配偶者や子どもなどに給与を支給することにより、事業により生じた利益が経営者の財産として蓄積されることを軽減することが可能となります。そのため、将来の相続発生時における相続財産を減少させることとなりますので、相続税の税額負担を軽減することが可能となります。

また、相続税対策として、法人新設時の出資額は配偶者や子の出資割合を多くしておければ、なお有効となるでしょう。

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