売上除外をしたときの異常数値の見つけ方

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ある卸売業で売上除外の可能性を見つけました。税務調査官はどのようにして見つけるのでしょうか。

1.推計棚卸表による異常値の洗い出し

(単位:万円)

  ①(前期の⑥) ⑤(③×④) ⑥(①+②ー⑤)
期首在庫 仕入高 売上高 原価率 推計出庫額 推計在庫
4月 1,000 4,400 5,000 0.92 4,581 819
5月 819 4,900 5,500 0.92 5,039 679
6月 679 5,200 5,800 0.92 5,314 565
7月 565 5,000 5,600 0.92 5,131 434
8月 434 5,200 6,000 0.92 5,498 136
9月 136 4,600 5,200 0.92 4,765 -28
10月 -28 4,500 2,600 0.92 2,382 2,089
11月 2,089 3,800 4,500 0.92 4,123 1,766
12月 1,766 4,200 5,000 0.92 4,581 1,385
1月 1,385 5,000 5,500 0.92 5,039 1,345
2月 1,345 4,900 5,600 0.92 5,131 1,114
3月 1,114 5,200 5,800 0.92 5,314 1,000
合計   56,900 62,100 0.92    

(計算法)

期首在庫 :損益計算書の期首棚卸高より転記。その他は前月分の推計在庫を転記。

仕入高  :事業概況説明書より転記。

売上高  :事業概況説明書より転記。

原価率  :損益計算書より算定(56,900/62,100) 原価:期首在庫+仕入高―期末在庫

推計出庫額:売上高×原価率で算定。

推計在庫 :各月の期首在庫+仕入高―推計出庫額で算定。

以上の表より9月末の推計在庫でマイナスが発生。10月に売上除外か架空仕入が行われている可能性を検討。

2.調査及び推計棚卸表の修正

10月分の売上除外を想定し、同月の納品書や出荷伝票、受注記録、配送記録などから出荷先や出荷物を洗い出し、売上明細との突合せを行い、現金による単発取引を収入から除外していた事実が確認されました。そして以下のように推計棚卸表を修正します。

(単位:万円)

  ①(前期の⑥) ⑤(③×④) ⑥(①+②ー⑤)
期首在庫 仕入高 売上高 原価率 推計出庫額 推計在庫
4月 1,000 4,400 5,000 0.88 4,397 1,003
5月 1,003 4,900 5,500 0.88 4,837 1,066
6月 1,066 5,200 5,800 0.88 5,101 1,165
7月 1,165 5,000 5,600 0.88 4,925 1,240
8月 1,240 5,200 6,000 0.88 5,277 1,164
9月 1,164 4,600 5,200 0.88 4,573 1,190
10月 1,190 4,500 5,200 0.88 4,573 1,117
11月 1,117 3,800 4,500 0.88 3,957 960
12月 960 4,200 5,000 0.88 4,397 763
1月 763 5,000 5,500 0.88 4,837 926
2月 926 4,900 5,600 0.88 4,925 901
3月 901 5,200 5,800 0.88 5,101 1,000
合計   56,900 64,700 0.88    

3.税務上の対応

現金や代表の口座への直接の振り込みが発覚し、10月分の売上は、2,600万円おおかったことがわかりました。そのため売上除外額は代表者に対する貸付金として処理します。また、会社が代表者にお金を貸していたとすると、受取利息も会社側で計上しなければならいません。それらは隠蔽仮装行為に当たるために重加算税の賦課対象となります。当然消費税も加算されることになるでしょう。

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