架空人件費を立ててしまったとき、その後税務調査でどのようにばれ、どうなるのでしょうか。
1.架空人件費のバレ方
不審なアルバイトについて、以下のような資料を確認します。
項目 | 内容 |
履歴書 | 採用面接時に履歴書は提出させるものです。ない場合もありますが怪しまれます。 |
扶養控除等(異動)届出書 | 採用時には当該届出書を提出させます。ない場合もありますが怪しまれます。 |
シフト表 | 通常シフト表に名前とシフトの記載があるはずです。 |
メールアドレス | 過去におけるメールのやりとりを見ます。口頭でシフトを入れる時もありますが、メルアドがない場合は怪しまれます。 |
タイムカード | タイムカードで確認された勤務時間に自給を乗じて各人の給与額を計算している場合には、ここにないとバレてしまいます。 |
所得税の源泉徴収 | 源泉徴収額を控除して本人へ支給していますし、毎月か半年に一度か、税務署に納付しているはずなので、数字が一致していないとバレてしまいます。 |
支給手段 | 現金で支払う場合もありますから、通帳から支払われていなくても決定的な証拠にはなりません。 |
源泉徴収簿の作成 | 合計額に差異があればバレてしまいます。 |
年末調整 | 複数から支払いがあれば年末調整をしているとは限りません。 |
源泉徴収表の提出 | 年末調整を行っており、給与支給額が500万円以下であれば提出は不要です。年末調整をしていなかったとしても、支給額が250万円以下であれば提出は不要です。 |
給与支払報告書の提出 | 年間支払額が30万円以下で退職者という2つの条件が重なった場合に提出不要になりますから、ほぼ全員提出しているはずなので、提出していなければ怪しまれます。 |
上記の状況を確認して、不審なアルバイトを抽出し、履歴書に記載された住所等を基に反面調査を実施します。口裏合わせをしている場合を除き、アルバイトに応募したが不採用だったり、採用されたもののすぐに退職していたなど勤務実績がないことが反面調査でバレてしまうでしょう。
2.税務上の対応
架空人件費は、代表者に対する役員報酬として認定されます。届け出もしていないでしょうし、定額給与に該当するわけもないので、会社の損金にすることはできません。さらに代表者に対する所得税の源泉徴収漏れが生じます。加えて、架空人件費の計上は隠ぺい仮装行為に当たり、法人税及び源泉所得税の追徴課税に対して重加算税が賦課されます。
人件費や報酬料金に対する操作は、マイナンバー制の導入により、受給者の所得捕捉が強化され、今まで以上に難しくなります。