配偶者が海外資産を相続したときの注意点

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父がハワイにコンドミニアムを持っていました。先日父が亡くなり、コンドミニアムはとりあえず母が相続しました。しかしどうやら、長男が相続した方が税金面で有利だったことを知りました。

1.ポイント
ハワイのコンドミニアムは、一定の金額を超える場合、アメリカでも相続税がかかります。外国で支払った相続税は、日本の相続税から控除することができますが、配偶者が日本の相続税を支払わない場合には、外国で支払った相続税が控除できません。

2.解説
配偶者の税額軽減とは、配偶者が遺産分割や遺言により相続した財産が次のいずれか多い金額までであれば相続税がかからないという制度です。
(a) 1億6,000万円
(b) 配偶者の法定相続分

相続税の申告期限までに遺産分割が完了していない場合には税額軽減の対象となりません。ただし、申告期限後3年以内に分割が決まる見込みであれば、一定の届出書を提出して、後で適用を受けることも可能です。今回は、母が法定相続分まで相続し、遺産分割も完了しているため、母には日本の相続税がかからないことになります。

外国税額控除とは、海外にある財産を相続した場合において、その財産についてその国の相続税に相当する税金がかかった時に、その外国の相続税相当額のうち一定額まで、日本の相続税から控除することができる制度です。

相続人がハワイのコンドミニアムを相続し、その財産について、日本でもアメリカでも相続税がかかっておりますので、アメリカで支払った相続税を日本の相続税から差し引くことができるということになります。なお、日本の居住者に対しては、アメリカ所在の財産が基礎控除額6万ドルまたは日米租税条約による基礎控除額の特例額を超える場合にアメリカの遺産税(日本の相続税に相当)が発生します。アメリカの遺産税にも、日本の相続税における「配偶者の税額軽減」のような特例はありますが、日本の居住者には適用されないことになっています。

相続税の税額控除には、上記の他にも、贈与税額控除、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除があります。ただし、税額控除は控除される順番が決まっております。
今回、母は、まず配偶者の税額軽減を適用し、次に外国税額控除を適用するため、配偶者の税額軽減の段階で税額が0円になった場合は、外国税額控除が控除しきれなくなってしまいます。

外国税額控除の適用を受けるためには、遺産分割において、息子がコンドミニアムを相続すれば、外国税額控除の適用を受けることができ、家族全体の相続税は安く済むものと考えられます。

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