自宅の軒先を譲渡したときの相続税

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父が亡くなり、相続税の納税が必要になりました。そこで唯一の不動産である自宅を売ることにしました。しかし住んでいる家でもありますし、自宅の土地の一部を分筆した上で譲渡しました。すると、マイホームの特例が使えず、譲渡税が発生するというのです。

1.ポイント
自宅を減らさず、相続税の納税ができる底地物納と言う方法があります。

2.解説
土地や建物を譲渡した場合には、譲渡所得として、他の所得と分けて所得税や住民税が課税されます。売値から取得費、譲渡の際に要した費用を差し引いた残りを譲渡所得として、土地建物の所有期間に応じて一定の税率を乗じて計算します。

マイホームを売った時は、一定の要件を満たせば、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除、通常よりも低い税率で計算をすることができる特例があります。

この特例は、建物を譲渡するか、建物とともに土地を譲渡すること(建物取壊し後一定期間内の譲渡も含む)が要件となりますので、自宅の土地(一部)だけを譲渡し、建物を譲渡せず引き続き所有する軒先譲渡の場合には、この特例を使うことができません。

相続税には、3つの納税方法があります。
(a) 現金での一括納付:原則的な納税方法
(b) 延納:一括納付する現金がない場合に分割納付
(c) 物納:延納によっても相続税を払うことができない場合には、不動産などの相続財産(モノ)を相続税評価額で納める

底地物納とは、完全所有権の土地をそのまま納税するのではなく、借地権部分と底地部分に分け、底地部分のみを納税に充てる方法です。また、もともと借地権者がおり、底地のみを所有している場合に、その底地部分のみを納税に充てる方法も底地物納です。

底地物納をしますと、売却する土地を全て引き続き所有し続けることができ、また、土地の所有者は国となるため、地代の支払いが発生しますが、固定資産税等を支払う必要がなくなります。

国は、底地の売却(払い下げ)を原則として借地権者にしか行いません。そのため、金銭的な余裕ができた場合には、底地を買い戻すことも可能です(3年に1度、国から買い取りの要請があります)。

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