JV(建設共同企業体)を組んで、大型工事を受注し工事を行っています。工事は、A社施工分とB社施工分を分けて行っていました。先日、B社の工事現場で、物損事故を起こしました。B社社員による、B社施工現場でのことでしたので、賠償を含む事故対応はB社に一任しました。ところが、本日、被害者から当社に損害賠償請求がありました。
1.ポイント
そもそもJV(共同事業体)は、共同して作業をするためのものであり、その作業から生じた事故であれば、第一義的には共同事業体が責任を負うものです。しかしながら、共同事業体は、「民法上の組合」に当たり、法人格はありませんので、共同事業体の構成員が連帯責任を負います。事故の被害者が、A社に賠償請求したのは、工事の幹事会社だったからだと思われます。B社との打合せで事故の対応はB社が行うと決めても、被害者には関係ないことで、共同事業体の責任であり、構成員であるA社にも当然賠償責任はあります。
2.解説
被害者と共同事業体が、損害賠償額について合意をした場合、その費用負担は、原則、構成比で負担します。もっとも、事故の原因(ここではB社社員の過失の程度)等を総合的に勘案して、両当事者の合意、またB社が全額負担することに合理的な理由がある場合には、全額B社の負担としたとしても、課税当局もその処理を認めるものと思います。
しかし、税務トラブルをさける意味からも、A社とB社との間で「損害賠償に関する合意書」等の事故の経緯と負担額の合意が立証できる文書の取り交しや保管が徹底しておきましょう。