租税法規の限定解釈

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(りそな外税控除否認事件)

最高裁平成17年12月18日第二小法廷判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)りそな銀行

Y:(被告・控訴人・上告人)

A:ニュージーランド法人

B:Aの全額出資子会社(クック諸島)

C:Aが28%を保有するクック諸島の会社

CとBの間にXが介在して貸付を行う。この結果、Cはクック諸島の源泉税負担を免れた。Xは本取引から手数料分の純利益を得るが、クック諸島の源泉税負担を差し引くと損失が生じる。但し外国税額控除の対象となり日本に納付される法人税額は減少するので、Xには手数料が利益として残る。日本の外国税額控除制度は全ての国外源泉所得を合算して控除限度額を計算する一括限度額方式であるから、他の国外源泉所得に対する外国税の実効税率が日本より低ければ、控除限度額に余裕枠が生じる。この余裕枠を利用して、Xはクック諸島源泉税の全部を税額控除し、課税後に純利益を得た。Yは本取引の外国税額控除を認めず、Xは不服申し立てを経て出訴した。

1.論点

外国税額控除の余裕枠を利用して利益を得ようとする取引に基づいて生じた所得に対して課された外国法人税を法人税法69条の定める外国税額控除の対象とすることが認められるか否か。

2.判旨 破棄自判

法人税法69条の定める外国税額控除の制度は、内国法人が外国法人を納付することとなる場合に一定の限度でその外国法人税の額を我が国の法人税の額から控除するという制度である。

本件取引は、外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税額を減少させることによって免れ、最終的に利益を得ようとするものである。

我が国納税者の負担の元に取引関係者の利益を図るもというほかない。

外国税額控除制度を濫用するものであり、税負担の公平を著しく害するものとして許されない。

3.解説

本判決では、法人税額を減少させたうえで、この免れた税額を原資とする利益を取引関係者が享受する、つまりCが支払うべき外国税をXが支払って税額控除したと評価されることに基づいている。

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