同族会社に対する貸付金は相続財産

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

会社を経営していて、一時期倒産危機があり、父からの貸付金で危機を脱しました。その後父が亡くなり、この貸付金が相続財産だということになり、思いのほか、相続税が高くなりました。

1.ポイント
貸付金も相続財産です。同族会社に対する貸付金については、一定の手続きを経て株式(出資)に切り替えること(デットエクイティスワップ)ができ、その結果として相続財産が減少することがあります。

2.解説
金融機関に融資を断られ資金繰りに窮して倒産の危機に陥った際に、両親に資金を拠出してもらっているケースは珍しくありません。また資金の出し方としては、危機に瀕しているわけですから、株主総会を開いて、株主に通知してといった増資手続きを経ることは時間的に難しく、単に送金したままになっているケースが多いように思われます。そして、送金された資金は事例のように未払の回収に使用されたり、何らかの資産の購入に充てられたりして現金から形を変えるケースがほとんどで、「現金がなくなる」ことをもって、両親の財産から消えてしまったかのように誤認される方が少なくありませんが、「同族会社への貸付金」に変わっただけで、両親の財産は減少しないことになり、相続発生時には相続財産の範囲に含まれることとなります。

同族会社への貸付金は相続税の課税対象になる一方、容易に換金することができないため、非常に厄介な存在であるといえます。そこで生前の対策として、「同族会社に対する貸付金」を「同族会社の株式」と交換するデットエクイティスワップ(略称DES)を検討される方が増えています。通常は出資時に株式と現金を交換するのに対し、デットエクイティスワップは株式と債権を交換する点に特徴があります。

債権と交換した同族会社株式は換金性が乏しいことについては債権と同じですが、相続税の計算上、債権は原則として額面価額で評価されるのに対し、株式は大まかにいうと配当、利益及び純資産に応じて評価されるため、業績の芳しくない企業においては、多くの場合評価が引き下がります。

ただし、手続きが煩雑で具体的に債権から株式に振り替えた場合の効果についても検討する必要があり、またケースによっては法人に債務消滅益が生じて思わぬ納税が生じる可能性があります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

税理士がいない!税務調査立ち会い代行します

税務調査プロでは、

個人事業主、フリーランスの方など税理士がいない方への

税務調査立ち会い代行サービスを行っております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


ご相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*