課税仕入れにおける対価の意義

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大阪地裁平成24年9月26日判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)ビルの管理運営、駐車場の経営及び区分所有建物の賃貸業
Y:(被告・被控訴人・被上告人)税務署長

各区分所有者全体で団体を構成。Xは各部屋を各賃借人に貸し付け、各賃借人は賃料の他、各部屋に係る管理費、諸経費をXに支払い。Xは各管理組合に管理費のうち一部を負担。Xは消費税の計算において、管理費の額を課税仕入れとし、各賃借人が支払った管理費相当額を課税売上に計上せず、申告。Yは更正処分。

1.論点
Xが各管理組合に支払った管理費が、消費税法30条1項の課税仕入れに係る支払いの対価に該当するか。

2.判旨 請求棄却
各管理費が課税仕入れの対価というためには、各管理費が各管理組合からの役務の提供に対する反対給付として支払われたということが必要。
各管理費は、管理組合が行う各ビルの共用部分の管理費用であり、Xの負担額は共用部分の使用収益の態様や管理業務による利益の享受の程度と直接関係がない。Xは本件管理組合に対し共用部分の管理を現実に委託したか否かに関係なく、各管理費の支払い義務を負い、本件管理組合の構成員の義務として、本件各管理費を支払っているものというべき。
従って、各管理費は管理組合が行う管理業務と対応関係になく、役務の提供に対する対価とは言えない。
第三者と区分所有者との間に独立した納税義務の主体である管理組合が介在している以上、管理組合の第三者への支払いを考慮して、ビル一棟の所有者が第三者に対して支払う費用と実質的に同一であると評価することはできない。

3.解説
管理組合の構成員である区分所有者は、区分所有法第19条を根拠に共用部分の負担、つまり管理費を支払う。管理組合は権利能力なき社団として、人格のない社団等の税制が適用される。収益事業を行えば、消費税の課税売上が生じ、管理組合が管理費を支払った場合にはその支払いが課税仕入れに該当すれば、仕入税額控除の対象となる。
消費税法基本通達5-5-3及び5-5-4は、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するとしている。
課税仕入れの該当性は否定されている。

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