国税OB税理士にはメリットもデメリットもあります。国税OBは内情がよくわかっているため、現職時代に身に着けた脱税者のノウハウや、ギリギリOKなラインがよくわかっているからだと思います。
私も税務調査を数多くやってきましたが、本当にギリギリのラインや駆け引きともなると、国税OB税理士には敵わないのではないかということも正直あります。でもそれは脱税的なことを考える人にとっては、頼りになるのですが、一般人にとってはそれほどギリギリに脱税間際の節税をやる機会はないわけですから、そこまでの高度なスキルが必要な場面が数多くあるわけではありませんまた、。彼らは税務申告書を書く技術に乏しい方が少なくありません。そこが彼らの最大の弱みでもあります。
それはさておき、国税OBは完全なクロ、完全なシロだけでなく、数多くのグレーゾーンを見てきています。税務の分野は当局の見解、納税者の見解が分かれることも多いのです。さらに当局が主張する課税根拠の事実認定に対して、いちゃもんを付ける能力にたけていることは事実です。つまり、調査途中で調査妨害を見つけ、あるいは事実と異なるストーリーを仕込んで、調査官をミスリードさせることもしたり、税務署の調査官が嫌がる、異議申し立てや国税不服裁判所の審査請求をちらつかせて、こちらの要求を通す。つまり税務署相手との交渉力。これが国税OBの最大の武器と言えます。そのため、上場企業等で、どちらかというと納税したくない連中の多くが、国税OB税理士と顧問契約をしているというわけです。税務調査でそれだけ税金が増えなければ顧問料など安いものということになります。
国税OB税理士の最大の問題は、現職職員との癒着です。中には、OB税理士が故意に顧問先の調査対象から外させたり、また、税務調査の場合に、追徴税額に手心を加えさせ、相当の減額をさせ、見返りでいくらか渡す等もあるとか。
国税OB税理士が強みを発揮するのは、脱税まがいの節税を試みる企業の税務調査といえそうです。そのため、税務調査はお任せ下さいと言って、税務調査のときにさっそうと代打で現れる心強い税理士も国税OBが多い気がします。当然、税理士は脱税指南は税理士法で禁止されています。そのため、それがバレれば税理士業務を行えなくなります。
確かに、脱税指南や税務調査で手心を加え税金を削減するということは、グレーゾーンではあれども、相当な報酬も手に入るでしょう。お金に目がくらむ気持ちもわからなくはありませんが、不正な手段で稼ごうとすると、せっかくの資格が使えなくなってしまいます。私も過度な節税は脱税につながりかねませんので、依頼をお断りしています。