非課税となる損害賠償金等の範囲

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名古屋地裁平成21年9月30日判決

(事件概要)

X:(原告・被控訴人・被上告人)商品先物取引 

Y:(被告・控訴人・上告人)税務署長

Xは商品取引員であるA商事会社に委託して商品先物取引を行ったが、結果的に損失を被った。その後で、XはAと和解。和解金を受領。これを所得に計上せずに確定申告を行った。税務署は和解金が雑所得に該当するとして、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分。和解金は所得税法9条1項16号及び30条2号の非課税所得に当たるから所得税の課税対象とはならないとして出訴。

1.論点

和解金は損害賠償金となるか(論点1)。

和解金の法9条1項17号該当性(論点2)

2.判旨

論点1:A商事の適合性の規則違反や説明義務違反として不法行為に基づく損害賠償金。

論点2:賠償損害金の全てを一律に非課税所得とすることは適当ではなく、同号は「心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に起因して取得するもの」を例示的に掲げたうえ、これらを含めて非課税所得となる損害賠償金の範囲の具体的定めを政令にゆだねたものと解される。

本件和解金は施行令30条2号にいう「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払いを受ける損害賠償金」に当たる。

3.解説

近年、投資取引における説明義務・情報提供義務違反については不法行為責任が肯定されている。

施行令30条2号の言う不法行為が突発的な事故と同様の不法行為に限定されるか。不法行為は突発的な事故と同様の態様のものに限定されない。

本件和解金はXに生じた実損害を補填するための損害賠償金であるから、施行令94条1項2号所定の補償金等に該当しない。

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