審理の対象~理由の差替~

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最高裁昭和56年7月14日第三小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・被控訴人=附帯控訴人・上告人)不動産業
Y:(被告・被控訴人=附帯被控訴人・被上告人)税務署長

Yは本件不動産の取得価額により譲渡益が生じたとして更正処分。Xは処分の取消訴訟を提起。

1.論点
青色申告に対する更正処分の取り消し訴訟において、更正処分に附記した理由に対して示された事実認定に誤りがあったことが判明した場合、課税庁が新たな事実を提示して当該処分が適法であることが許されるか。

2.判旨 上告棄却
Yに本件追加主張の提出を許しても、更正処分を争うにつき被処分者であるXに格別の不利益を与えるものではないから、青色申告者による申告についてした更正処分の取消訴訟において、更正の理由とは異なるいかなる事実も主張できると解すべきかどうかはともかく、Yが本件追加主張を提出することは妨げない。

3.解説
理由の差し替えとして租税訴訟だけでなく、行政所掌一般について論じられてきた問題。この問題は訴訟における審判の対象ないし訴訟物との関連で議論される。判例は行政処分の取り消し訴訟における訴訟物は当該行政処分の違法性一般であり、行政庁は処分時における認定事実や根拠法規の解釈にとらわれず、特別の理由がない限り、当該処分の効力を維持するための一切の法律上及び事実上の根拠を主張することが許されるとしている。
また、理由の差し替えは行政処分の繰り返しとやり直しをめぐる行政過程と司法過程の役割分担の問題として論じるべき。

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