更正処分の誤りと延滞税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

最高裁平成26年12月12日第二小法廷判決

(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 市川税務署長

Xは相続税の申告及び納付をしたが、その後、相続土地の評価額が時価よりも高いとして更正の請求。Yは減額更正を認め過納金還付。
さらに土地の価格が時価よりまだ高いとして、異議申し立て。逆にYは減額攻勢による土地の評価額が時価よりも低いとして増額更正。また延滞税の催告。法60条1項2号は更正を受けた場合に法定納期限の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ延滞税を課している。

1.論点
減額更正後に当初申告税額に満たない範囲で増額更正がなされた場合にも、延滞税の起算日は法定納期限の翌日か

2.判旨 破棄自判
本件各相続税のうち、本件各増差本税額に相当する部分については、それぞれ減額更生と過納金の還付という課税庁の処分等によって納付を要しないものとされ、未納付の状態が作出され、納税者は本件各増額更正がされる前において、これにつき未納付の状態が発生し継続することを回避できなかった。
延滞税は納付の遅延に対する民事罰の性質を有している。本件各増差本税額に相当する部分について、本件各増額更正によって改めて納付すべきものとされた本件各増差本税額の納期限までの期間に係る延滞税の発生は法に想定されていない。
本件各相続税額の法定納期限の翌日から本件各増額更正に係る増差本税額の納期限までの期間については、法60条1項2号において延滞税の発生が予定されている延滞と評価すべき納付の不履行による未納付の国税に当たるものではないというべき。上記の部分について、本件各相続税の法定納期限の翌日から本件各増差本税額の納期限までの期間に係る延滞税は発生しない。

3.解説
財産評価を理由とする減額更正後に当初申告額に満たない範囲で財産評価を理由とする増額更正がなされた場合、延滞税の起算日が法定納期限まで遡らず、延滞税は不発生となる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

税理士がいない!税務調査立ち会い代行します

税務調査プロでは、

個人事業主、フリーランスの方など税理士がいない方への

税務調査立ち会い代行サービスを行っております。

お電話でのお問い合わせ:050-3627-7700 まで。


ご相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*