最高裁昭和50年5月27日第三小法廷判決
(事件概要)
X:(原告・控訴人・上告人)財産分与により土地を譲り受けた者
Y:(被告・被控訴人・被上告人) 税務署長
XはAと離婚時に、慰謝料として不動産を取得。譲渡所得としてこの不動産を含まず、Yが更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分。Xは譲渡所得は有償譲渡に限ると主張。
1.論点
財産分与としての資産移転が譲渡所得課税の対象となるか。
2.判旨 上告棄却
譲渡所得に対する課税は資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを精算して課税する趣旨であるため、有償であることを要しない。
財産分与の義務の消滅は経済的利益。財産分与として不動産等の資産を譲渡した場合には経済的利益を享受したというべき。
3.解説
夫婦は別産制を採用。相手方に移転した場合は資産の譲渡に当たる。またそれは収入金額を伴うもの。財産分与請求権は離婚の成立で実体的権利として発生する。